2016 軽井沢の放射放線量を計測開始します

これまで、軽井沢-ON.com では気温と湿度をリアルタイムで配信してましたが、2016年から自分たちでも放射線量も配信することになりました。

概要

このプロジェクトは放射線量の数字自体よりも、定位置で24時刊計測し続けて傾向を見るために設置しました。
グラフはその生のデータ、及び平均値を参照できます。
※ CPM → μSV/h 変換は簡易変換を採用してます。

※高い値が表示されていても慌てる必要はありません。
生データなのでかなりふらつきますが、校正済の Inspector+ で検証してますが、それよりも若干高い値が表示されるようです。
Inspector+ の数字自体が役場の公式放射線量と比較すると2~3倍程度の数字になりますから、1/2~1/3 程度が公式線量値に近いと思われます。
公式な空間線量は、軽井沢はこちら、全国の傾向なら ただ今の空間線量 で参照できます。
下の方に軽井沢-ON.com の見解も記しますが、最終判断は見る人に委ねます。

システムの構成

GM 管センサーは、GC10 NetIO 社です。
肝心なセンサーはロシア製の GM 管です(評判はかなり良い)。
センサー自体は、β、γ線を計測できます。
RaspberryPiは、6cm × 9cm × 3cm 程度の小さなコンピュータです。
ここでは、USB 経由で計測データ読み込み、サーバにインターネットを介して転送します。
観測データはサーバ上に保存され、閲覧は、ブラウザを介して行います。
ブラウザは、SVG 対応のブラウザが必要です。
Chrome/FireFox/IE/iPad 最新版 で検証してます。
※iPad 等の Safari は表示が多少遅いです。



数字の見方

数字が大きいほど危険です。
目安としては次の数字があります。

0.11μSV/h → 年間 1mSV (旧規制値)に相当します。
2.28μSV/h → 年間 20mSV (新規制値) に相当します。

若干の考察

ここで用いてるセンサーは GM管なのでβ線とγ線を測定できます (α線は、連続計測している CM 管は雲母ガラスじゃないので測定できません)。
普通に考えれば、汚染はセシウム(Cs137)かストロンチウム(Sr90) だ。
反応式は次の通り。

Cs137 β 512.0 keV (30.07years) → Ba137m γ661.7keV (2.552min) → Ba137
Sr90 β 545.9 keV (28.79year) → Y90 β 2.280MeV (64.053hours) → Zr90

Cs137 は、半減期約30年で崩壊し、励起された Ba137m に変わります。 Ba137m は、半減期3分弱ですからほとんど同時に、γ線を出して Ba137 に変化します。 Ba137 は安定です。
Sr90 も半減期約29年で崩壊します。この時 Y90 に変わります。 Y90 も不安定で半減期64時間で(これも比較的直ぐです)、再度β線をだして Zr90 (ジルコニウム)に変わります。Zr90 は安定です。

どちらもβ崩壊ですが、ストロンチウムはβ線しか出さない。
なのでγ線が検出されたら、Cs137 に汚染されていると考えて良さそうです。
エアカウンター等は、γ線にのみ反応しますからエアカウンターで最低値(0.05μSV/h) 以上の値がでたら恐らく Cs137 汚染。
β線も両者は同じではありません。
イットリウムが出すβ線のエネルギーが非常に高い。
どこかが汚染されていると線量が高くなるんですが、β線は電子であり電磁波のγ線ほど遠くまで飛ばないという特徴があります。
通常、空間線量は地面から1m離して測定します。
汚染源が点で構成されていれば、汚染源から離れるに従いその距離の自乗に反比例して下がりますが、地面とか壁とか、十分大きな面で均一に汚染されていると仮定した場合、γ線のように到達距離が長いと、汚染源(この場合は面)から離れても減衰しません。
それに対してβ線は荷電粒子ですから、エネルギーによって到達距離は異なります。
ストロンチウム由来のイットリウムの場合は、3m程度飛ぶのに対して、 セシウムの場合は急激に減衰し、1.3m 離れると大気中では到達するβ線は非常に少ない(グラフを参照の事)。
なので、γ線のみの計測器とγ線+β線を計測できる計測器で、対象面近くでは差が大きく、離れるにしたがって後者の線量が下がり、1m以上はなれると差が小さくなる場合には、Cs137 の汚染が考えられます。
3m以上離れても差がある場合は、計測器の感度等の性格と思われます。
1mの時点で差があっても、3mではなくなる場合、ストロンチウム由来の汚染があると考えられます。

β線+γ線の測定器が1台しかない場合でも、β線の場合は間に鉄板を入れると遮断されやすい性格がありこれを利用して、ある程度判断できます。 1m以上はなれても差がのこる場合、1m 以上程度離れたところで、途中に鉄板を挟む場合とそうでない場合で計測してみて差があれば、そのβ線は強エネルギーβ線、つまりストロンチウム由来と考えられます。

注意:汚染源が Cs137/Sr90 以外も含む場合は、この限りではありません。

設置場所

ID:3 埼玉県志木市マンション東向きベランダ(地上高約40m)
ID:1 はまだ(有)スレッド(新軽井沢)の室内に設置してあります(これは、どこか、軽井沢の風通しの良い屋外の場所に設置する予定です)。

残りの1台は、次のいずれかの場所に展開する予定です。
もしかしたら GPS も接続して、近辺を走り回るかも知れません。
  1. 八千穂町
  2. 神奈川県横浜市
  3. 埼玉県東松山市
  4. 北軽井沢
  5. 千葉県柏市
  6. 箱根?

放射線量異常報告メール機能

まだ、全ての調整が終わった訳ではありませんが、 数値があがったら登録していだいた人にメールで知らせる等のサービスを開始しました。
登録、及び削除時にも指定されたメールにその旨配信されます。
送信元は mail@thread.ne.jp で送信されますから、特に携帯からの人はそのメールが受信できるように設定をお願いいたします。

放射線量異常報告メールフォーム

メールアドレス (必須)
メールアドレス(確認用) (必須)
設定 追加/閾値変更 解除
閾値)
1.1 1.15 1.2 1.25 1.3 1.4 1.5 1.75 2.0
過去30日平均より、最新の値の10分間の平均ががこの倍数以上の値が観測されるとメール配信されます。
コメント (任意)
報告メールのルール: 10分間隔でチェックされます。
毎回報告されると煩わしいので、2度め以降は、前回の報告から30分以内は送信されません。
ただし、前回の送信時の放射線量の値から更に 0.04μSV/h 以上増加した場合には、30分以内であっても報告されます。

今後の予定

グラフをより見やすく改善します。
傾向がつかめれば、この場で報告します。
役に立たないようであれば、中止するかも知れません。
ご意見のある方、アドバイスをいただける場合は上記の「放射線量異常報告メールフォーム」のコメントでお願いします。
建設的なご意見には努めてご返事するようにしますが、誹謗中傷はスルーします。

サーバ提供のお知らせ

本システムの計測部をご用意いただける方には、無償でこのサーバを提供する用意があります。
計測部の構成と費用はおよそ次のようになります。
        放射線計センサー         9500 円 (組み立てキットは 5400円程度)
	USB 通信モジュール	 1600 円	センサー → RaspberryPI
        USB ケーブル(長)         1500 円	RaspberryPI → センサー
        RaspberryPI              5500 円
        SD カード                1000 円	RaspberryPI 用
        ケース                   1500 円
        USB ケーブル(短)         1000 円
        LAN ケーブル             2000 円
        USB 電源 (3A)            2000 円
   ----------------------------------------
                                25600 円

※LAN ケーブルを使わず、無線LAN モジュールを挿して、無線LAN にすることも可能です。
RaspberryPi は、サーバに報告するための小さなコンピュータです。
LAN 環境が必要で、電気代もかかります。 結果は公開しますが、 場所情報は個人情報が特定されないように、大雑把な表記にとどめます(要相談)。
詳しく知りたい方は、上のフォームからお問い合わせください。

付録:軽井沢でのこれまでの傾向

311の爆発直後は、北からと東からと汚染された空気が迫り、東からは碓氷で落ちきらなかった分が軽井沢にも降り注いだと言われます。
放射線計測器をもっている町民がいろいろ計測しましたが、東の群馬県側が高かったのは事実で、軽井沢-ON.com の計測では最大で 3.3μSV/h を計測(Inspector+ での計測値)しました。
西に行くにしたがって下がり、小諸までいくと殆ど影響は観測されませんでした。
当時は雨水が溜まる場所など 0.5μSV/h 程度の場所は簡単に見つけられましたが、毎年計測値は下がり、現在では見つけるのが困難な状態です。

2012年~2014年に主に軽井沢町内を走行した車のエアコンフィルターを計測してみましたが、特に高い数値は計測できませんでした。

付録:薪ストーブとの関連 (2016/11/15 追加)

軽井沢町でも一時は薪ストーブの利用が問題になりました。
薪が Cs137 と Sr90 に汚染されていると仮定した場合、ストロンチウムの沸点は 1382℃なのでストロンチウムは灰に残ります。
それに対して、セシウムは 670.8℃なので最近の高性能な薪ストーブの場合は、全部ではないにせよ、蒸気となって気化し煙と一緒に排出されることが予想されます。
蒸発しなかったものは灰に残るハズです。
セシウムは非常に反応性に富、セシウム蒸気は化学的に反応して周りのものを汚染させます。 化学的に反応してしまった場合には、除染は困難です。
また、凝結した場合は、小さな粒々パーティクル状になっているものと想像されます。
このホット・パーティクルは埃と一緒に吸い込むと非常に危険で肺にのこったそれは内部被曝を引き起こします。
灰の中に残ったストロンチウムも灰が舞う時、一緒にパーティクルとして浮遊することが考えられます。
空気清浄機の利用や、水拭き掃除が汚染に良いというのは根拠のあることと思います。

事実、薪ストーブの灰からは高めの線量が検出されます(Inspector+ α線+β線+γ線合算で 0.4μSV/H 程度)。
薪が汚染されていることは間違いなさそう。 ところが、薪は通常2年から長い人だと3年乾燥させます。 筆者も薪ストーブの利用者で、軒下の雨に濡れない場所で乾燥させます。
311の翌年に燃した薪はこの薪です。ですが、この薪の灰を測定したところ、汚染が検出されました。
当時は「放射能フリー」と銘打たれた薪も販売されてました。 この薪の灰からも同様に検出されました。
他にも幾つか理由はありますが、筆者の個人的な現在の結論は「311以前から日本は汚染されていた」です。

付録:メモ

GM 缶センサーキットは自作したものと、予め組み立て済みのものとある。
自作したものでハンダがうまく回っていないものは、動作が不安定になります。

2016/11/28 ID:0 中軽井沢E邸で薪ストーブ内で計測

β線を遮る缶なしでの計測です。
それまで、0.15 μSV/h だったものが、0.3 μSV/h 程度まで上がりました。
炉内に溜まっていた灰約5cmを1cmまで減らしました。その結果、0.28μSV/h 程度には下がりました。
途中、移動に伴う不安定なピークがでたのでセンサーを ID:0 ⇔ ID:1 と交換しました。

2016/9/17~ 11/26 ID0:0 中軽井沢I邸での調査経過

2016/9/17 に、設置した。場所は天井に近い(壁にも近い)棚の上。0.23 μSV/h 程度あった。 想定以上の値が計測されたので暫く調査することにした。
その家は中軽井沢にありますが、以前から線量値は高い。 1Fより2F、2Fより3Fが高い。 原因は不明ですが、 恐らく、壁と天井が汚れているものと思われます。 薪ストーブのせいかも知れません。 水拭き掃除しても変化ないので、恐らく化学的に反応して汚染されていると思われます。
連続計測しているセンサーは、GM 管センサーなのでβ線も感知します。 β線はその強度により到達距離が違ってきます。
Inspector+ で、β線遮蔽板なしで計測しても、壁や天井から離れると急激に下がります。 1m も離れると影響は少なくなるので、弱いβ線と考えられます。
このセンサーも、β線を遮蔽するために空き缶に本体ごと入れて計測してみた結果、0.02μSV/h 程度下がることが確認できました(例:2012/11/5 19:00~)。
汚染源は Cs137 の割合が高いと考えられます。
他方、なにかのタイミングで 0.03 μSV/h 弱下がるときがありました(例:2016/10/26 222:00~)。
暫く原因がわからなかったんですが、調査の結果、このタイミングは空気洗浄機(富士通ゼネラル製)を稼働させた時間と一致してました。
このいただきものの空気清浄機は、強力な脱臭機能(タバコ臭/ペット臭) の他に、集塵機能が備わってます。
この空気清浄機の集塵機能が汚染されている埃を集め、結果的に線量を下げているものと考えられます。
後日、再度線量があがったタイミングをみて再度検証します。

2016/11/8 にネットでは評判のよい水式空気清浄機に変更してみました。
富士通ゼネラル製の空気清浄息は停止してありますが、低い状態を保ってます。
ここまでの結果をみると、とても簡単な仕組みですが、富士通ゼネラル製の空気清浄機程度の性能は有していると想像されます。

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